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“Due Diligence”「ただの調査」ではありません。失敗を防ぐ合言葉 。本当の意味と使い方

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1. 序章

ビジネスにおいて、大きな決断には必ず「リスク」が伴います。

新しい企業と提携する、会社を買収する、あるいは重要な契約を結ぶ……。 そんな時、相手の言っていることが本当に正しいのか、隠れた問題はないのか、心配になることはありませんか?

「直感」だけで動くと、後で痛い目を見ることになります。 そこで不可欠なプロセスが due diligence(デューデリジェンス) です。

日本語のビジネスシーンでも「デューデリ」と略して使われることが多いこの言葉。 単なる「調査」とはどう違うのでしょうか?

今回は、ビジネスの失敗を防ぐための重要キーワード「due diligence」の本来の意味と背景、そして現場でのスマートな使い方を解説します。

2. 説明:「due diligence」の意味・由来・使いどころ・類義語

2-1. 意味

Due diligence は、一言で言えば 「当然行うべき正当な注意・努力」、ビジネス文脈では 「(投資や契約前の)詳細な調査・資産査定」 を指します。

  • Due: 支払われるべき、正当な、当然の

  • Diligence: 勤勉、絶え間ない努力

つまり、「手抜きせずに、やるべきチェックをしっかりやり切ること」というニュアンスです。

例:

  • Perform due diligence → デューデリジェンス(詳細調査)を行う

  • Financial due diligence → 財務デューデリジェンス(帳簿等の確認)

2-2. 由来

もともとは法的な概念から来ています。 ある人が他者に損害を与えないように「当然払うべき注意義務」を果たしたかどうか、という文脈で使われていました。

これが1930年代の米国の証券法などで、「投資家を守るために、企業情報を事前に徹底的に調べること」を指すようになり、現在のM&A(合併・買収)や投資における「買収監査・詳細調査」という意味で定着しました。

「買う前に、中身をちゃんと見ておく」という、ビジネスの基本姿勢を表す言葉です。

2-3. ビジネスでの使いどころ

  • M&A(企業の合併・買収): 買収先の財務状況や法的な問題がないか調べる時(最も一般的)。

  • 新規取引・提携: 相手企業が反社会的勢力ではないか、支払い能力はあるかを確認する時。

  • 不動産購入: 物件に欠陥や法的制限がないか調べる時。

2-4. 類義語

  • Investigation(一般的な「調査」)

  • Assessment(「査定・評価」)

  • Audit(「監査」。会計的なチェックに近い)

  • Background check(「身元調査」。人や企業の背景確認)

3. ストーリー

3-1. 英文ダイアログ

Scene: A meeting room at Beacon Biosciences. David (R&D Lead) and Sarah (Senior Marketing Director) are discussing the progress of a partnership with “Apex Labs”.

David: Good news, Sarah. Apex Labs passed our technical assessment with flying colors.
Sarah: That is great to hear. Their technology could be a game-changer for us.
David: Exactly. Since the science is solid, I want to speed up the process.
Sarah: What about the due diligence on their business side?
David: Not yet. I’ll ask the legal team to start a quick check immediately.
Sarah: A “quick check”? David, for a partnership of this size, we cannot cut corners.
David: But a full financial audit takes weeks. I don’t want to lose momentum.
Sarah: I understand, but it is our only defense against hidden risks.
David: Can’t we just sign a basic agreement first and check the details later?
Sarah: No. I know you want to report progress to the Board, but we need the full picture first.
David: So you are worried about things like debt or legal issues?
Sarah: Precisely. If they go bankrupt next year, our project dies with them.
David: You have a point. The science doesn’t matter if the company fails.
Sarah: Correct. So, please request a full due diligence, not a quick one.
David: Okay. I’ll get the legal and finance teams involved right now.
Sarah: Thank you. Let’s make sure this deal is solid from every angle.
David: I’ll update the schedule. It will take longer, but it will be safer.

3-2. 動画

3-3. 日本語訳と解説

場面: ビーコン・バイオサイエンシズの会議室。研究開発リードのデイビッドとシニア・マーケティング・ディレクターのサラが、「エイペックス・ラボ」との提携の進捗について話している。

David: Good news, Sarah. Apex Labs passed our technical assessment with flying colors. (良い知らせです、サラ。エイペックス・ラボは我々の技術評価に見事に合格しました。)
with flying colors: 見事に、大成功で。
Sarah: That is great to hear. Their technology could be a game-changer for us. (それは素晴らしいわね。彼らの技術は私たちにとってゲームチェンジャーになり得るわ。)
David: Exactly. Since the science is solid, I want to speed up the process. (その通りです。科学的な裏付けは確実なので、プロセスを加速させたいんです。)
Sarah: What about the due diligence on their business side? (ビジネス面のデューデリジェンス(詳細調査)はどうなっているの?)
※サラは技術だけでなく、ビジネス面のリスク調査の有無を確認しています。
David: Not yet. I’ll ask the legal team to start a quick check immediately. (まだです。法務チームに、すぐに簡易チェックを始めるよう頼みますよ。)
Sarah: A “quick check”? David, for a partnership of this size, we cannot cut corners. (「簡易チェック」ですって? デイビッド、この規模の提携で手抜きをしてはダメよ。)
cut corners: (手続きなどを省いて)手抜きをする、近道をする。
David: But a full financial audit takes weeks. I don’t want to lose momentum. (でも、完全な財務監査は何週間もかかりますよ。勢い(モメンタム)を失いたくないんです。)
Sarah: I understand, but it is our only defense against hidden risks. (わかるわ。でも、それ(詳細な調査)こそが、隠れたリスクに対する私たちの唯一の防御策なの。) ※ここでの “it” は直前の話題である “due diligence (process)” を指しています。
David: Can’t we just sign a basic agreement first and check the details later? (最初に基本合意書だけ結んで、詳細は後でチェックするわけにはいきませんか?)
Sarah: No. I know you want to report progress to the Board, but we need the full picture first. (ダメよ。あなたが役員会に進捗を報告したいのはわかるけど、まずは全体像が必要よ。)David: So you are worried about things like debt or legal issues? (つまり、借金や法的な問題などを心配しているんですね?)
Sarah: Precisely. If they go bankrupt next year, our project dies with them. (その通り。もし来年彼らが破産したら、私たちのプロジェクトも共倒れよ。)
David: You have a point. The science doesn’t matter if the company fails. (一理ありますね。会社が潰れてしまったら、科学技術も意味がない。)
Sarah: Correct. So, please request a full due diligence, not a quick one. (そうよ。だから、簡易版ではなく、完全なデューデリジェンスを依頼してちょうだい。)
※サラは「簡易版(quick one)」ではなく「完全版(full version)」が必要だと強調して締めくくります。
David: Okay. I’ll get the legal and finance teams involved right now. (わかりました。すぐに法務と財務のチームを巻き込みます。)
get (someone) involved: ~を巻き込む、参加させる。
Sarah: Thank you. Let’s make sure this deal is solid from every angle. (ありがとう。あらゆる角度から見て、この取引が堅実なものになるようにしましょう。)
David: I’ll update the schedule. It will take longer, but it will be safer. (スケジュールを更新します。時間はかかりますが、その方が安全ですね。)

3-4. Words and phrases

番号 単語 / フレーズ 品詞 日本語解説
1 technical assessment 名詞句 技術評価
2 with flying colors 副詞句 見事に、非常に良い成績で
3 game-changer 名詞 状況を一変させる存在
4 due diligence 名詞 (投資・提携前の)詳細調査
5 cut corners 動詞句 手を抜く、近道をする
6 financial audit 名詞 財務監査
7 lose momentum 動詞句 勢いを失う
8 defense against 名詞句 ~に対する防御策
9 hidden risk 名詞 潜在的なリスク
10 sign an agreement 動詞句 契約に署名する
11 full picture 名詞句 全体像、全容
12 go bankrupt 動詞句 破産する
13 have a point 動詞句 一理ある
14 from every angle 副詞句 あらゆる角度から

3-5. 解説

  • pass with flying colors: 船が勝利の旗(colors)を掲げて帰港する様子に由来するイディオムです。「ギリギリ合格」ではなく「余裕で、素晴らしい成績で」というニュアンスを含みます。

  • cut corners: 直訳すると「角をショートカットして曲がる」こと。ビジネスでは、コストや時間を惜しんで「必要な手順を飛ばす」「質を落とす」というネガティブな意味で使われます。SarahがDavidを戒める重要な表現です。

  • get … involved: 誰かをチームに参加させる、協力してもらうという意味で、ビジネス現場では非常に頻繁に使われます。”I’ll involve the legal team” と言うよりも、自然な響きになります。

4. 例文

  1. We need to do our due diligence before signing the contract. (契約書にサインする前に、詳細な調査をする必要があります。)

  2. The due diligence will take two weeks. (デューデリジェンスには2週間かかります。)

  3. He is responsible for the financial due diligence. (彼が財務デューデリジェンスの担当です。)

  4. Due diligence helps us find hidden problems. (詳細な調査は、隠れた問題を見つけるのに役立ちます。)

  5. They finished the due diligence yesterday. (彼らは昨日、調査を完了しました。)

5. 結び

「Due diligence」は、単なる事務的なチェック作業や、相手のあら探しではありません。 それは、ビジネスのアクセル(推進)とブレーキ(安全確認)のバランスを保ち、将来のトラブルを未然に防ぐための「誠実な準備」です。

今回のストーリーのDavidのように、目の前に魅力的なチャンスがあると「早く進めたい」「面倒な調査は簡略化したい」という心理が働くのは自然なことです。しかし、そこでSarahのように「技術が良くても、会社として信頼できるか?」と冷静に立ち止まれるかどうかが、致命的な失敗を防ぐ鍵となります。徹底的に調べることは、決して後ろ向きな行為ではなく、自信を持って契約書にサインするための「攻めのプロセス」なのです。

また、英語の会議で “We need to do our due diligence.” と発言できれば、あなたは単なる実務担当者ではなく、「ビジネス全体のリスクが見えている信頼できるパートナー」として評価されるでしょう。

「Have we done our due diligence?(やるべき調査はやりきった?)」 重要なプロジェクトであればあるほど、近道をせず、しっかりと事実を見極める。この言葉をあなたのビジネスの「合言葉」にして、より確実で質の高い成果を目指してください。

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