1. はじめに
ビジネス英語でよく聞く “leverage(レバレッジ)”。
「レバレッジを効かせる」「レバレッジをかける」と日本語でも使われますが、
もともとはどんな意味から生まれた言葉なのでしょうか。
この言葉の本質は、「小さな力で大きな結果を生む」 という考え方。
今回は語源の背景と、製薬会社 Beacon Biosciences の現場を舞台にしたストーリーを通して、
その実践的な使い方を学んでいきましょう。
2. 「leverage」の意味と語源
2.1. 基本の意味
“Leverage” は、動詞では「〜を活用する」「〜をてこにする」、
名詞では「効率的な力」「影響力」という意味です。
- 動詞: We can leverage our data to improve results.
(データを活用して結果を改善できる。)- 名詞: The company has strong leverage in the market.
(その会社は市場で強い影響力を持っている。)
2.2. 語源
語源は名詞 “lever(てこ)”。
さらにそのルーツはラテン語 “levis(軽い)” にあり、
「少ない力で重いものを動かす」という“てこの原理”を意味します。
この「てこ」の発想が、ビジネスの世界では「限られたリソースを最大限に活かす」という考え方に発展しました。
つまり “leverage” は、努力の量ではなく努力のかけ方を工夫すること を表す言葉なのです。
3. ストーリー(Beacon Biosciences)
3.1. 英文ダイアログ
Scene: Research Lab, Beacon Biosciences.
Emily and David are reviewing how to speed up a vaccine project.
Emily: David, our data review is taking longer than expected.
David: I know. We should leverage the data from our previous trial.
Emily: You mean the Phase II results?
David: Yes. The structure and patient groups are similar. That gives us a head start.
Emily: That’s true. If we reuse the framework, we can save at least two weeks.
David: Exactly. It’s about using what we already have to move faster — like using a lever for efficiency.
Emily: I like that image. A small push at the right point can move a lot.
David: That’s the power of leverage — smart effort, not just more effort.
Emily: Let’s summarize this for Dr. Lewis. It’ll show that we’re optimizing resources.
David: Good idea. That’s real leverage in research.
動画はこちら
3.2. 日本語
場面:ビーコン・バイオサイエンス社 研究室。ワクチン開発プロジェクトの打合せ。
エミリー:「デイビッド、データのレビューが予想より時間がかかっています。」
デイビッド:「分かっている。前回の治験データを活用(leverage)すべきだ。」
エミリー:「第II段階試験の結果のことですか?」
デイビッド:「そうだ。構造や患者群が似ている。先手を打てる。」
エミリー:「確かに。枠組みを再利用すれば、少なくとも2週間は節約できますね。」
デイビッド:「その通り。持っているものを使ってより速く進めることなんだ。それがleverageで効率良く。」
エミリー:「そのイメージいいわね。適切な点をちょっと押すだけで、大きなことが動く。」
デイビッド:「それがleverage の力だよ。単に多くの努力じゃなく、賢い努力なんだ。」
エミリー:「ルイス博士にまとめて報告しましょう。私たちがリソースを最適化しているって示せるわ。」
デイビッド:「いいね。いい考えだ。それが研究における本当のレバレッジだよ。」
3.3. 解説
この会話では、“leverage” を「既存のデータや経験を活かして、効率的に成果を出す」意味で使っています。
- We should leverage the data from our previous trial.
→「過去のデータを活用する」=リソースを再利用する戦略的行動。 - That’s the power of leverage — smart effort, not just more effort.
→「がむしゃらではなく、賢く動く力」。この一文は“leverage”の核心を表します。
比喩として登場する “lever(てこ)” も自然で、
英語話者にとって “leverage” の意味を直感的に伝える言葉です。
4. ビジネスと投資の「レバレッジ」の違いと共通点
4.1. 投資での “leverage”
投資の世界で “leverage” は「借入金を使って投資規模を大きくする」ことを意味します。
たとえば、手元資金100万円に対して300万円を借り入れて投資する場合、
「3倍のレバレッジをかけている」と言います。
少ない自己資金で大きなリターンを狙える一方、
損失も同じ比率で拡大する“両刃の剣”の概念です。
4.2. ビジネスでの “leverage”
ビジネスではお金ではなく、人材・知識・時間・関係性 などを「てこ」として使います。
つまり「リソースを最大限に活用して成果を増やす」ことを意味します。
- 投資のレバレッジ: 借入を通じて資本を拡大する(金融的レバレッジ)
- ビジネスのレバレッジ: 既存の資源を効率化して成果を拡大する(戦略的レバレッジ)
どちらも共通しているのは、
「小さな力で大きな結果を生み出す」という“lever(てこ)”の発想です。
ただし、金融では「リスクを伴う拡大」、ビジネスでは「効率を高める工夫」という点が異なります。
5. 例文
- We can leverage our experience to finish the project faster.
(経験を活かしてプロジェクトを早く終わらせよう。) - She leveraged her network to find new clients.
(彼女は人脈を活かして新しい顧客を見つけた。) - Let’s leverage the old data before collecting new samples.
(新しいサンプルを集める前に、古いデータを活用しよう。) - He used his position to leverage better results for the team.
(彼は立場を活かしてチームの成果を高めた。) - Investors often use leverage to increase potential profit.
(投資家は利益の可能性を高めるためにレバレッジを使う。)
6. 結び
“Leverage” は「努力を増やす」言葉ではなく、
「努力の方向を変えて最大の成果を引き出す」 言葉です。
ビジネスでも投資でも、
「てこ」をうまく使えば、小さな資源でも大きな結果を動かせます。
しかしそのためには、どこに力をかけるか(where to apply your lever) を見極めることが大切です。
次に何かに挑戦するとき、こう考えてみましょう。
👉 「私は今、何を leverage できるだろう?」
その問いが、成長への最初の一歩になります。
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